校長挨拶

教育の主役は「子ども」
そして「環境」が教育を創る

校長 小泉清裕

校長 小泉 清裕 校長 小泉 清裕

 2023年4月に相模女子大学小学部の校長に就任しました小泉清裕です。小学部の一員として毎日、児童や教職員と一緒に元気に楽しく過ごしていきます。

 相模女子大学のキャンパスには204本の梅があり、早春には正門を入ると独特の甘い香りが鼻腔をくすぐります。そして幼稚部から大学院までの新入生を歓迎するかのような桜が164本あります。中でも本学のシンボルともいえる満開の百年桜は圧巻で、近隣の方々にもご覧いただいています。そして三保の松原も顔負けの446本の松が学園全体に広がっています。
 また、敷地内にはビオトープがあり、そこからは水が小川となって流れだしています。春には児童が田植えをし、秋には刈り取りをする田んぼや、四季折々にさまざまな野菜を収穫する畑など、自然豊かな環境は本学の財産であり、子どもたちの感性を育てる原動力となっています。
 そして、私たち教職員も子どもたちを囲む環境のひとつとして、主役である子どもたちの成長を紡ぐ伴走者としてあたたかく、しなやかに見守っていきます。

 小学校の教科学習はそれぞれの教科がお互いに支え合うことで成り立っています。これが小学校教育の特長であり、相互の教科がつながりあうことが小学校教育では極めて大切です。
 これは「肉じゃが」料理に似ています。具材のじゃがいも、肉、玉ねぎ、にんじん、しらたき、さらに調味料としてしょうゆ、砂糖、みりんが加わって「肉じゃが」になります。器によそったときに彩りに乗せる絹さやも大切な役割を果たしています。どの具材、調味料にも重要性の高低はなく、おいしい「肉じゃが」にとって不可欠な素材です。
 小学校の教科学習に置き換えてみると、「肉じゃが」の中心素材のじゃがいもは国語でしょう。言葉の理解と使用がすべての学習の原点だからです。そして算数が肉で、社会が玉ねぎ、にんじんの理科があり、他の教科もそれぞれの役割を持った、なくてはならない素材です。それぞれの素材の相互作用でおいしい「肉じゃが」ができます。小学校教育にあとから入ってきた英語やプログラミング学習などは、みりんのような大切な脇役ということになります。
 小学部の教育の中ではそれぞれの教科学習がつながり合い、独自の学習へと進展していく「探究」の時間や、コミュニケーション(人とつながる心と合意形成)の力を育てる小学部独自の「つなぐ手」の学習が行われています。
 小学部時代に学んだことが、10年、20年先の人生で立派な建物を建てるためのしっかりとした土台になることでしょう。