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エッセイ Vol.13 羽生 宏人


思い出飯 ― 地中海スペシャル ―

2025年11月4日
一緒に食事した方の誰もが「う~ん、おいしい!」と感嘆する一皿。そんなメニューを開拓したのは、2013年の夏でした。鹿児島県大崎町のビジネスホテルに滞在していました。打上げを控えたイプシロンロケット試験機1号機は、機体組み立て後の地上システムとの結合試験に突入していました。普段は鹿屋市内に宿泊するのですが、このころは出張者が多く宿泊先が不足していたので、隣町に宿泊していたのです。仕事の区切りをつけた帰り道、ホテル近くのイタリアンレストラン プリモピアット(東串良町)へ足を運びました。

あのとき注文した「地中海スペシャル」は、記憶に刻まれた一皿になりました。目の前に届いた瞬間、トマトベースのようでありながら、確かにそれ以上の奥行をもつソースが艶めいていました。魚介の旨味が際立って、フォークを口に運ぶたびに、思わず「ん~~」と唸ってしまう。このソース、どんな材料を使っているのだろう?と興味津々。使っている魚介類はすべて内之浦産とのことでした。秘伝のソースについては明かされぬまま。厨房から立ち上る香り、静かに流れるジャズ――このお店での食事は、まるで映画のワンシーンのようです。
以来、出張で時間が取れたら店を訪れ、何度となく「未解明の味」を堪能してきました。料理が好きな私は、週末に自宅キッチンで何度か再現を試みたのですが、いまだにソースの正体を突き止めることができていません。いつか再現したいと思いつつ、逆に再現できないことがこの一皿の魅力になっているのかもしれません。

職位:客員教授
学歴:東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 博士課程修了 博士(工学)学位取得

■所属学会・委員会
一般社団法人火薬学会 評議員
日本ロケット協会 会計監事

前回のエッセイはこちら

エッセイ Vol.10 羽生 宏人

2025年5月1日
エッセイテーマ「休日の過ごし方」

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客員教員リレーエッセイ「 Narratage~シネマのように語りたい~」



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