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ピーター J マクミラン


新春の試み

2024年2月1日
私は日本の古典の翻訳者として、古典文学の世界を現代に活かす方法を常に考えています。その一環として、小倉百人一首を海外に紹介するため、2019年に世界初の英語版百人一首かるたを作りました。そして現在は、万葉集に収録されている歌の全訳に取り組みつつ、日本全国にある万葉歌碑の側に歌の現代語訳や解説文、そしてそれらの英訳を添えた解説看板を設置する事業を進めています。それらが地域の観光を促進するコンテンツとなり、また現代人に万葉集の複雑な世界を深く理解してもらうための一助となることを願っています。

最新の活動の一つとしては、百人一首の歌の超訳本を書いているところです。それぞれの歌について、標準的な現代語訳に加えて超訳というものを書いています。超訳では、百人一首が編まれた時代の世界を現代の時代背景に置き換えて表現しています。以下はその一例です。

【第2番】持統天皇 

春過ぎて夏来(き)にけらし白妙の衣干(ほ)すてふ天(あま)の香具山(かぐやま)

<現代語訳> 春が過ぎて、夏が来たらしい。薫り高い天の香具山に真っ白な衣を干している。
<超訳> アタックで洗った真っ白なシャツをイケメンたちが天の香具山に干している。

天の香具山の白い衣を、アタックのCMに出演する俳優のシャツに置き換えています。

【第10番】蟬丸 

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂(あふさか)の関

<現代語訳> ここがその場所か!行く人も帰る人も、知っている人も知らない人も、別れては会う—逢坂の関
<超訳> なんやここは!渋谷のスクランブル交差点人混み凄いな。

人が行き交う逢坂の関を、現代の渋谷のスクランブル交差点に置き換えています。

この本の目的は、日本の人たちに千年前のテーマや感情が今と変わらないことを知ってもらうこと、そして百人一首の歌の世界を身近に感じてもらうことです。この取り組みには多くの日本人学生が協力してくれていますが、彼らの遊び心や日本語の巧みさもまた、千年経っても変わらないものです。

職位:客員教授

■所属学会・委員会
Pen America 日本ペンクラブ会員
一般財団日本文化交流基金(Japan Cultural Institute)代表理事
和歌文学会 会員



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