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羽生 宏人


アイデアが頭に浮かぶとは何か

2023年12月1日

宇宙との通信アンテナ(JAXA内之浦宇宙空間観測所)

 多くの方が何等かの形で(時に偶然に)アイデアが頭の中に浮かんでくるという経験をされていると思います.私は学問研究に携わっていますので,このような経験は数えきれないほどあります.私にとっては職業柄最早日常となっているアイデア創出ですが,別の場では仕事で日々多様な課題に直面し,その解決に適したアイデアをひねり出せずに困っているという話をたびたび耳にします.アイデア創出という作業が困難なものになっているケースが少なからずあるということに関心を持った私は,そもそも何故アイデアが頭に浮かんでくるのかということについて調べてみることにしました.

 アイデアが頭に浮かんでくるという現象を一言で表現すると「ひらめき」が適しているように思います.アイデアが偶然に見つかった様子が目に浮かびますね.では,アイデアは果たして「偶然の産物」なのでしょうか.意識的に見つけることができないものなら,静かにその時を待っていること以外に方法はないのでしょうか.実はそんなことはないというのが結論です.

 私たちは日常から得られる膨大な情報を意識的に,あるいは無意識にその要否を選択しながら過ごしています.情報の要否判断は,日ごろから意識している事柄に強く影響を受けます.好奇心を持って世の中の関心を高めることは,情報の要否判断の際に要判定が多くなり,情報を何となく記憶に残すようになります.これらは特につながりのない情報としてしばらく脳内に点在しますが,これら情報は,思考のテーマに沿って結合することがあり,結果として発想という形に結実します.要するにひらめくことは気づくことに他ならないのです.

職位:客員教授
学歴:東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 博士課程修了 博士(工学)学位取得

■所属学会・委員会
一般社団法人火薬学会 評議員
日本ロケット協会 会計監事



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