グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



 
ホーム >  教員紹介 >  客員教員 >  客員教員リレーエッセイ >  エッセイ Vol.12 金子 修介

エッセイ Vol.12 金子 修介


映画監督の休日?夏休み?

2025年9月1日

「休日の過ごし方」を聞かれても「休日」の定義って何だろ?。学生時代はハッキリしていた。カレンダーの赤いところが休日で、映画を見に行っていた。パン買って二本立て三本立て見るので1日がかりだ。助監督になったらカレンダーに関係なく仕事の無い日が休日で、撮影所に行かなくていいから映画を見に行った。そして監督になってフリーになったら・・・仕事がなければ無職と同じでウチにいる。その状態を休日と呼ぶ?仕事が無いなら映画に行く。仕事にありついたら撮影期間中の「撮休」が休日で、疲れていなければ映画に行く。

昔『毎日が日曜日』という城山三郎の小説があった。サラリーマンが定年退職になってウチにいる状態を皮肉って付けたタイトルで侘しいイメージ。それが『毎日が夏休み』になるとパーっと目の前が開けて明るいでしょう。大島弓子のマンガ原作から脚本を書いて映画会社にプレゼンして4年かかって映画化してから30年以上経つ。バブル崩壊後の1994年公開。

いじめで不登校の女子中学生(佐伯日菜子)と、会社と方針が合わず出社拒否の義父(佐野史郎)がお互い公園で早弁してたらバッタリ出会ってしまい、義父は娘の教育のために会社を辞め、2人で便利屋を始めたら母親(風吹ジュン)大慌てというコメディで、最後には夢のようにイメージが広がって本当の会社を設立して「私たちは永遠の夏休みを手に入れた」という日菜子ちゃん、新人賞獲った。でも時々「金子さんの『毎日が日曜日』良かったですね」と間違える方がいるんですが・・・

日々連続する仕事をしながら“休んでも良いよ”と言われるのが「休日」。それが続いたら失業だから『毎日が日曜日』は終わりが見えず、悲しい。でも、1ヶ月以上あると期間が決まっている夏休みには、自分でいろいろすることが可能だ。「計画する、実行する、失敗する・・・出会う、知る、発見する・・・スリルと冒険、まさに夏休みそのものだ」というナレーションを原作から貰って書きながら、自分の夏休みを思い出していた。

僕にとっては「夏休み」は映画だ。高校1年の夏休みに仲間と作った8ミリ映画の体験が、それまでの人生最大の体験で映画監督になりたいと思った。だから監督になって映画を作っている時って「夏休み」みたいな感じがするので大島さんの原作のタイトルに惹かれたのだった。その夏休み中に更に「休日」はないのかも知れない。スタッフには休んで欲しいけれど。

70になった今は映画を見るのは「勉強」と「娯楽」と「義務感」と「暇つぶし」が混ざっているが、一年のうちどれだけ映画の仕事をしているのか。撮れない年もあるし・・・映画を撮っておらず準備もしていない監督にとっては、平日も休日も同じではないでしょうか。

僕は、そうなのだ、「永遠の夏休みを手に入れた」はずなのだから・・・

職 位:客員教授
学 歴:東京学芸大学教育学部 卒業

<監督作品>
『1999年の夏休み』(1988)、『毎日が夏休み』(1994)
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)、『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)
『デスノート』(2006)、『プライド』(2009)
『リンキング・ラブ』(2017)、『信虎』(宮下玄覇共同監督)(2021)
『ゴールド・ボーイ』(2024)など多数

前回のエッセイはこちら

エッセイ Vol.9 金子 修介

2025年3月3日
エッセイテーマ「私の好きな場所」

私の好きな場所



客員教員リレーエッセイ「 Narratage~シネマのように語りたい~」



ページの先頭へ戻る