学長メッセージ

学長 風間 誠史

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2015年4月1日より、相模女子大学・相模女子大学短期大学部の学長を務めることになりました。私は江戸時代の文芸という、相当に浮世離れをした分野を研究してきた、というよりはその世界で遊んできた者で、時流とは無縁、およそ組織の運営などにふさわしくありません。にもかかわらず学長職に就くことになったのは、「択んで仁に居らずんば、いずくんぞ知を得ん」という『論語』の言葉に背中を押された、としか言いようがない。
『論語』は言うまでもなく、江戸時代の人々の学びの基本でした。たとえば大阪の商人たちは、自分たちで金を出し合って学校を作り、先生を招いて『論語』や儒学を学びました。さて、先ほどの言葉ですが、簡単に訳せば「自分の居場所を仁(思いやり)のある場所にしなければ、どうして知を得る(学ぶ)ことができるだろうか」ということになります。学問を本当に追究しようとするならば、その環境を整えることもまた責務だ、と私は解釈しました。「仁」は人として他者と共に生きるためのあり方です。それと「知」は分かちがたく結びついている。江戸時代の人々もそれをわかっていたのでしょう。
本学は2010年に「見つめる人になる。見つける人になる。」をスローガンとして掲げました。地域社会の課題を見つめ、発想力を生かして地域社会で活躍できる女性の育成を目指すという趣意を込めたものです。地域社会での活躍とは、要するに周囲の人々と共に生きることではないでしょうか。つまり「仁」です。それは即席で身につくものではない。学生が長い人生にわたって成長してゆくための、いわば種を蒔くのが「大学」というところだと捉えています。「仁」を育むことが、本当の「知」すなわち「学び」につながる。相模女子大学はそのような「学び」の場でありたいと念じています。


風間誠史祝辞