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津波ディジタルライブラリィ


津波ディジタルライブラリィ http://tsunami-dl.jp

相模女子大学学芸学部メディア情報学科 今井 さやか
共同研究者:津波ディジタルライブラリィ作成委員会

研究概要

本研究では、津波災害に関する古くからある文献、新聞記事、津波遡上シミュレーション動画、フィールドワークデータ、津波災害ビデオなどを総合的に管理し、インターネットを通じて広く公開する津波ディジタルライブラリィ(Tsunami Digital Library:略称 TDL)を開発している。2003年から現在まで続くプロジェクトであり、常にデータの追加が行われ、運営されている。このようなライブラリがあることで、津波についての情報を得るだけでなく、津波災害に対する防災計画を策定する上でも非常に役に立つ。本稿では、このTDLについて紹介する。

研究背景

日本の沿岸は古来より何度も津波の襲来を受けてきている。2011年に発生した東日本大震災の津波が東北地方の海岸を襲う映像は記憶に新しいところであるが、それ以前も1933年の昭和三陸地震津波、1896年の明治三陸地震津波、さらには1000年以上も昔から繰り返し東北地方を津波災害が襲っている。このような災害の記録は古文書や当時の役所などの記録誌に記述され、後世に残されてきた。しかし、文献として残されており、研究者や専門家はその存在を知っていても、一般の人の目には中々触れないものであった。そこで、本研究では、本や記録誌、新聞記事などの形で残っている津波災害の記録をディジタルデータにし、インターネットを通していつでも誰でも見ることのできる津波ディジタルライブラリィを構築し、一般に公開している。

研究成果

津波ディジタルライブラリィのトップページは図1のようなものである。
右画像:図1 TDLトップページ(クリックすると拡大します)

パソコンやスマートフォンでも閲覧は可能である。TDLでは紙の劣化や破損による情報の消失に備えるために、実際の書籍や新聞記事をスキャナを使って1ページごとにスキャンして画像データとしてディジタル化する。次に活字印刷の場合にはOCR(光学的文字認識機能)を利用し画像データの文字認識処理を行い、テキストデータを作成する。OCRでテキストデータ化できないような手書きの場合には古文書の専門家が読解してワープロ入力でテキストデータを作成する。このように書籍のすべてのページに対して1つの画像データと1つのテキストデータを作成している。新聞記事の場合にはマイクロフィルムを利用しマイクロフィルムスキャナを使って読み取り、同様に新聞1面に対して1つの画像データを作成し、ワープロ入力で津波災害記事のみのテキストデータを作成した。
テキストデータにはタイトル、目次、章立てなどの文書構造を示すXMLタグを付与し、構造化文書としてDBに格納した。キーワードや津波の種類、報告書・論文などの文献タイプなどによる検索操作によって検索されたXML文書はプログラムで加工することで書籍や新聞記事の文書構造を反映したWebページとして閲覧することができる。図2に津波関連文献の閲覧例を示す。Webページの左フレームには検索された文献の目次が表示され、クリックするごとにその節にジャンプすることができる。また、本文中の図表へのリンクをクリックすると該当する図表が別ウィンドウで表示され、図を見ながら本文を読み進むことができる構成になっている。

図2 津波災害記録文献の閲覧例(クリックすると拡大します)

図3 津波新聞記事の閲覧例(クリックすると拡大します)

これからの展望や社会的意義

津波ディジタルライブラリィ以外にも、特に2011年東日本大震災の記録をデジタルアーカイブとして膨大な記録を後世に残そうというプロジェクトがある。国立国会図書館東日本大震災アーカイブ・ひなぎく(http://kn.ndl.go.jp/)、東北大学災害科学国際研究所みちのく震録伝(http://shinrokuden.irides.tohoku.ac.jp/)などがその代表である。今後、東日本大震災の記録を研究・分析する上で、過去にさかのぼる資料を手に入れられる場所として、津波ディジタルライブラリィは役に立つと考えられる。

参考文献

関連資料


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