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【新入生のみなさまへ】学長メッセージ及び新入生宣誓


2020年04月03日

新入生を迎える言葉

学長 風間 誠史   
 新入生のみなさん、入学おめでとう。ご家族ご関係の皆さまにもお慶びのことと思います。本来ならば新入生が一同に会し、ご家族なども見守るなかで、皆さんをお迎えするはずでした。それが、新型コロナウイルスの感染拡大により、かなわなくなり、大変残念に思いますし、申しわけない気持です。それでも新年度、新学期、新たな時が始まりました。皆さんの気持も新たなものになっていると思います。どうかこれからの二年間・四年間を充実した日々にしてください。その決意がウイルスによってゆるぐことのないように。
 入学式が中止となったのは、初めてではありません。つい9年前もそうでした。東日本大震災の後、原発事故の影響で計画停電が続き、開催できなかったのです。震災とウイルス、種類は異なりますが、いわゆる「天災」です。かつては「天災は忘れた頃にやって来る」と言われていましたが、いまや忘れる間もなくやって来るようです。そして、それは偶然ではありません。かつては自然災害も疫病も、ある地域を限定的に襲うだけでした。だから遠く離れていればそれはないも同然だったし、身近に大きな災害が起こるのは「忘れた頃」だったのです。しかしいまは違います。津波が原子力発電所を襲えば国全体に被害が及び、ウイルスが世界のどこかで発生すれば世界中に広がるのです。つまり、人間が進歩し発展したことで、むしろ災害は大きくなっているし、その被害を受けることも多くなっている。逆にどんなに人間が進歩しても、おそらく地震やウイルスを根本的になくすことはできません。
 それでは、私たちになすすべはないのでしょうか。そうではない、と思います。人間は地球規模から言えばごく短い、数千年という時間のなかで、飛躍的に知識を増やし、生活を豊かにしてきました。それはなぜか。それは人間が、疑問を持ち、その解決にむけて「考える」ことを続けてきたからです。独りで考えたのではない。「考える」ことを人から人へ、次の時代へとつなげてきた。そうした「考える」ことの継承を「学ぶ」と言います。大学というのは、そういう「学び」の場として作られました。そうした「考える」こと、「学ぶ」ことの起源のひとつとされているのは、ギリシャの哲学者・ソクラテスの言った「無知の知」、つまり自分が「知らない」ことを自覚するということです。中国の思想家・孔子にも「知るというのは、知らないことを知らないとすることだ」という言葉があります。今回のウイルスでも、私たちは「知らない」ことを痛感させられました。でも、だからこそ、ここから私たちは「考え・学ぶ」ことができるはずです。自分が「知っているつもり」でいるよりもずっといいのです。まだまだ、人間は何も知らない。考えつづけ、学び続けるしかない。
 そんなタイミングで、皆さんは大学へ入学しました。どうか考え、学んでください。簡単に手に入る答えはありません。自分で地道に考え、色々な人から学び、そしてまた自分で考えるしかないのです。でも、それは人間が積み重ねてきた人間だけの営みであり、「人間の幸福」はそこでしか手に入らないものだと思います。ともに考え、学びましょう。あらためて、入学おめでとう。
二〇二〇年四月三日

新入生宣誓

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