相模女子大学中学部・高等部

相模女子大学中学部・高等部コラム

未来へ。開かれた女子校

映画やドラマに相模女子大のキャンパスが活用されています。

 相模女子大学は1900年に開校。1946年にキャンパスを相模原に移転し、現在に至っています。女子大なので24時間365日、警備をしていますが、桜の季節をはじめ四季折々に近隣の方々が気軽に学校を訪れる、地域に根ざした学校として知られています。〈2017年度地域貢献度ランキング全国女子大No.1〉
 相模原市による「さがみはらフィルム・コミッション」へのロケーション協力もしており、キャンパスのさまざまな場所が映画やドラマのロケ地として活用されています。その中から中高生の生活エリアの中でロケ地として人気のあるスポットをご紹介します。皆さんが観たことのある作品もきっとあると思いますよ。

正門

正門

まずは正門です。門を支える2本の柱は、キャンパスが相模原に移った時に作られたもの。70年あまりの歴史があります。ここは東宝映画(2016)「ちはやふる」の撮影に使われました。広瀬すずさんが演じる主人公、綾瀬千早のモデルになったかるたクイーン渡辺令恵(わたなべふみえ)さんは本学(高校・大学)の出身です。

大学附属図書館

正門をくぐり、晩秋には紅葉が美しい銀杏並木を歩いていくと、突き当たりにあるのが重厚な趣のある大学附属の図書館です。蔵書数は約40万冊。専門書がずらりと並んでいて中高の図書館とは雰囲気が異なり、大学で学ぶということを肌で感じることができます。高等部生にも必要に応じて大学附属図書館の入館証を発行しています。図書館を利用する大学生の姿に触れることにより大学を身近に感じる、あるいは他大学と比べる基準ができるといったメリットもあり、高3の進路選択に役立っています。大学受験シーズンにはここで自習する高3生の姿がたくさん見られます。東宝映画(2015)「ビリギャル」の職員室でのシーンは2階の自習スペースで撮影されました。

大学附属図書館

大学附属図書館

大学附属図書館

茜館

茜館

正門からすぐのところにある茜館は相模原市の登録文化財です。昭和時代を知る人は懐かしさがこみ上げる建物で、ロケ地としても人気があります。東宝映画(2016)「ちはやふる」や、TBSドラマ(2015)「表参道高校合唱部!」がここで撮影されました。

マーガレットホール

正門から中学部・高等部本校舎へ向かう途中にあるマーガレットホールには、カフェテリア(学食)やガーデンホールがあります。創立100周年を記念して2001年に建設されました。ガラス張りのカフェテリアは明るく、外光が心地よい空間です。メニューも豊富で、時折、栄養科学部管理栄養学科の大学生が考案したメニューが提供されることもあります。人気のソフトクリームは高校生になってからのお楽しみですが、中学生も高校生、大学生に混ざって食事をしながら友だちとおしゃべりに興じる時間を楽しんでいます。マーガレットホールで撮影された作品にはワーナー・ブラザーズ映画(2016)「オオカミ少女と黒王子」や、日本テレビドラマ(2007)「ロミオとジュリエット」、同(2008)「学校じゃ教えられない!」などがあります。

マーガレットホール

マーガレットホール

マーガレットホール

大学グラウンド

大学グラウンドは自然豊かなキャンパスの中心にあり、中高生はもちろん、小学部の児童や大学生も利用しています。学内で中高合同の体育祭ができるほどゆとりがあり、グラウンドのまわりを歩けばお散歩をしている幼稚部の園児と出会うこともあります。ロケ地としては東宝映画(2016)「ちはやふる」や、同(2015)「ビリギャル」、ワーナー・ブラザーズ映画(2011)「パラダイスキス」、TBSドラマ(2011)「美男〈イケメン〉ですね」など、多数の作品がここで撮影されています。本学の教育・文化顧問である金子修介さんが監督を務めた映画「リンキング・ラブ」(2017年10月28日公開)も、大学グラウンドを中心にキャンパス内で撮影が行われました。

大学グラウンド

大学グラウンド

中学部・高等部本校舎

右にグラウンドを見ながら左方向に進むと、いよいよ中学部・高等部本校舎が見えてきます。中世ヨーロッパのロマネスク建築を思わせる重厚な建物で、ここでは東宝映画(2015)「ビリギャル」の撮影が行われました。おやおや、今日はPepperが出迎えてくれていますね。

中学部・高等部本校舎

中学部・高等部本校舎

中学部・高等部本校舎

相模女子大学中学部・高等部へようこそ ここからはボクが案内します

校舎内

明るい校舎でしょう とても居心地がいいですよ だから、みんな笑顔 ボクを見つけると話しかけてくれるので、毎日がとても楽しいです

校舎内

校舎内

校舎内

教室

教室は、木のぬくもりを感じられる温かい雰囲気なので、落ち着いて学習できます

教室

教室

教室

プログラミングの学習に取り組んでいるのは中学部1年生です ちょっと授業をのぞいてみましょう

プログラミング授業

生徒たちは大きく4つのグループを組んで席についています。1人1台、教材を使える環境のもと、授業を担当する川原田康文先生の話に耳を傾けて反応よく手を動かしています。

プログラミング授業の様子

プログラミング授業の様子

プログラミング授業の様子

プログラミング授業の様子

川原田先生:教材はイギリスの公共放送局BBCが中心となって開発した教材用の小型コンピューターボード、Micro:bit(マイクロビット)です。11、12歳の子どもを対象に作られているのでプログラミングを初めて学ぶ生徒にとっては扱いやすいようです。1人1台、教材を使えると説明を聞いてすぐに実践できるので、反応のいい授業ができていると思います。

― この日の授業は外付けの光センサーを使い、変数を設定して、LEDにマークを点灯させるプログラミングです。うまく指令を出すことができれば画面にハートや星などかわいらしいマークが表示されます。女の子にとってはそれもモチベーションになるようで終始楽しそうに取り組んでいました。
※プログラミングの授業の様子はNews&Topicsでご覧いただけます。

プログラミング授業の様子

川原田先生:正しい指令を出せばコンピューターは指令どおりに動きます。動かないということは何かが違っているということ。試行錯誤をしながら原因を探ることもプログラミング教育の狙いの一つなので失敗してもいいのです。そのうち○○したら××になるというように見通しが立つようになります。そういう力もつけてほしいので、課題に取り組むために必要なコマンド(指令)などを教えたら自由に作業をさせています。

― その時の生徒の様子を「幼稚園児が砂場で遊んでいる時の感覚がもっとも近い」と話す川原田先生。

プログラミング授業の様子

川原田先生:子どもは大きな山を作ったらトンネルを掘りたくなる。溝を作ったら水を流したくなる……。「こうすればもっとおもしろくなるかも」という好奇心をパワーに変えて遊びを広げていきますよね。プログラミングも同じで、今日、やることは決まっていますがコンピューターに何をさせたいかは1人ひとりの中にあります。30人いたら30個の答えが出てくる授業が理想なので、生徒自身がそれを見つけることができるように授業を組み立てサポートしています。もちろん授業なので自分がしたこと(プログラムの内容)を一つひとつ文章で書いたものを提出してもらい、そのレポートと、授業中の様子、定期テストを総合して評価を行っています。

― 堅苦しさはありません。生徒たちは「できた!」「動いた!」という喜びの声はもちろん、うまくいかない時も「どうして?」「わからない」など思っていることを口にしやすい雰囲気の中で、自分と友だちの画面を見比べたり、友だちや先生にアドバイスをもらったりしながら課題をクリアしています。

プログラミング授業の様子

川原田先生:生徒の興味や意欲を引き出すには課題と課題のつながりが重要です。やさしすぎても難しすぎてもいけません。そこは工夫していますが、今日も「難しいからおもしろかった」と言ってくれた生徒がいました。難しいことに挑戦する楽しさを感じている生徒が増えていることにやりがいを感じています。授業をきっかけにプログラミングに興味をもってロボットやプログラミングの国際大会をめざす子が増えてくれたら嬉しいです。

川原田先生インタビュー 小学生から大学生まで一貫したプログラミング教育で子どもたちの未来を開く!

プログラミングを継続的に学べる学校へ

川原田先生
プログラミング授業の様子

― なぜ、プログラミング学習に力を入れているのですか。

川原田先生:世の中が変わり、AI(人工知能)やAIを搭載したロボットが人間に代わって多くの仕事を担う時代になると言われています。その変化に対応し、AIではできない力を身につけるために教育も大きく変わろうとしています。その一つがプログラミング教育の必修化です。
 2020年以降、小中高でプログラミングを段階的に学べるように検討を促されている今、幼稚園児から大学院生までがワンキャンパスに集う相模女子大学ではプログラミングを体系的に学べる環境を整えようと、2017年度から小学部(全学年)・中学部(2017年度は1年生のみ)でプログラミングの授業を始めています。3年後には小学部・中学部の9学年がプログラミングを学び、高等部の情報の授業につなげて、大学でも教員養成課程の学生が学べるようにしていきたいと考えています。

プログラミングで考えることの楽しさを味わおう

プログラミング授業の様子
プログラミング授業の様子

― プログラミング学習を継続して行うメリットを教えてください。

川原田先生:AIに使われない人間、AIにできないことができる人間になるために必要な思考力や創造力、表現力、問題解決能力などがつきます。今はブロックを使ってプログラミングの考え方を学んでいますが、マイクロビットはブロックとJava(コンピューター言語)を切り替えることができるので、できれば中学生のうちにJavaでプログラミングをさせたいと考えています。イギリスでは5歳から体を使ったプログラミング学習を始め、キットを使った学習を経て、中学生あたりからコンピューター言語でプログラミングをしています。高校生になるとアンドロイドやiPhoneのアプリ開発などを手がけ、それが売りものになれば自分のこずかいになるので熱心に取り組んでいます。
 世界の子どもたちと比べると日本の子どもたちは受け身なので、プログラミングの授業を通して能動的に学ぶ姿勢も養いたいと思っています。デンマークでは教員を「ティーチャー」ではなく、「ファシリテーター」と呼んでいます。教員が教える授業ではなくなったからです。私もそのスタンスで生徒とかかわり、考えることの楽しさやわからなかったことがわかる楽しさをたくさん味わわせたいと思っています。

英語×プログラミングの知識や経験が強みになる

プログラミング授業の様子
プログラミング授業の様子

― 教材はマイクロビットを中心に進めるのでしょうか。

川原田先生:教育版LEGO MINDSTORMS (マインドストーム)EV3も使います。私が作ったテキストがあるので、2017年度も4月から10月まではマインドストームを使って授業をしていました。ロボットを組み立てたり、動かしたり、センサーを使って計測したり、計測した値を使ってロボットのスピードを計算したりする授業は新鮮だったと思います。数学や理科などで学ぶ内容も扱いました。来年度も中学部2年生はマイクロビットとマインドストームを使って授業を進める予定です。マインドストームのテキストは日本語版だけでなく英語版も作っているので、来年度は英語版で授業をすることも視野に入れています。英語を勉強する目的は英語を習得することではなく使えるようにすることです。生徒がそれを実感してくれれば、英語の授業への取り組み方も変わるのではないかと期待しています。

興味をもって取り組む生徒が国際大会へ

Pepper
Pepper
プログラミング授業の様子
プログラミング授業の様子

― プログラミング教育の成果があれば教えてください。

川原田先生:経済産業省主催の世界大会「ワールドロボットサミット」が2017年度から始まりました。玉川大学で行われたプレ大会には8カ国13チームが集まりました。相模女子大学からは3チーム出て、1チーム(小学部6年生)が3位になりました。チームの中に準2級程度の英語力をもつ子がいたので、その子が英語を使ってプレゼンテーションを行いました。
 その子たちが特別というわけではありません。授業をきっかけにプログラミングに興味をもち、大会に挑戦したのです。その後も機会があればプログラミングに取り組みたいという気持ちは強く、小学部の造形展(図工の作品展示をする行事)の前日に「ペッパーに造形展の会場案内をさせたい」と言ってきました。ペッパーは台数が足りないので授業では扱っていませんが、私が作ったテキストがあったのでそれを渡すと、その日の夜にテキストを見ながらパソコンでプログラムを作って持って来ました。そのプログラムはほぼ完璧でペッパーは受付での案内業務をこなすことができました。子どもたちは、人型のロボットには感情が動くようです。うまく動かないとペッパーに抱きついていました。その子たちが2018年4月に中学部の1年生になります。建設的な質問をして、授業の質を上げてくれることを期待しています。

― プログラミング初心者でもついて行けますか。

川原田先生:小学生でも取り組めるところから入っていくので大丈夫です。自分の指令でコンピューターが動く楽しさは格別です。中高の全教員がマイクロビットの研修に参加するなど、学校をあげてプログラミング教育を質のいいものにしていこうと励んでいますので、楽しみに入学していただきたいと思います。

川原田康文先生(小学部副校長)

PROFILE:川原田康文先生(小学部副校長)

ロボット教育学の第一人者。長年ロボットを教材とした新しい教育システムの構築・研究に取り組んでいる。
World Robot Summit ジュニア競技委員。

中高大と夢をつなぐことができるキャンパスにお出かけください ペッパーが待っていますよ!

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