みんなが気になることを教えてもらえる連載講座の第2回は、サブカルチャーや若者文化を長きにわたり研究している山﨑先生が登場!今回は「サブカルと人のつながり」をテーマにした新しい発想の視点について解説していただきます!

学芸学部日本語日本文学科所属。東京大学大学院を修了後いろいろあって現在に至る。教育社会学でアイデンティティ社会論をやっていたはずが、若者文化・サブカルに手を出してから横滑りし、いまや大衆メディア文化研究にまで越境中。最近はファンカルチャーに夢中。自由人すぎて本人も困惑気味。

アニメやマンガファンに代表されるサブカルチャーのファンの世界について考えてみましょう。 サブカルファンについては仲間同士みんなでつながって「わいわい」というよりも、一人部屋にこもって愉しんでいるというイメージが語られがちです。「リア充」に対する「非リア充」ですね。孤立化した若者とサブカルチャーとの共犯関係という見方は根強く存在します。 これにはなるほど根拠があって、現在のサブカルチャーが商業的な性格を持っていることに関係しています。バラバラの消費者たちがサブカル物品を消費して個人単位で楽しむ。「ともだち」がいなくても、たとえば部屋を美少女で埋め尽くすみたいに、部屋を好みにカスタマイズしてひとりで快楽と満足を得られるのです。この点は、近年の「現状に満足しがちな」若者たちという指摘ともじつは重なってきて、現実はどうあれ、自分の身の回りの世界で満足を得ようとする傾向です。ただし、その場合は、「リア充」も「非リア充」も現在の快楽を最大限にしようということで変わりはないのですが。

消費的な側面だけを見ると、孤独な消費者像が結ばれるんですが、サブカル現象には見逃せない点として、サブカルを介した新しいつながりが生まれるという面もあります。そして、ここに現代的な問題の焦点があります。 たとえば、コミックマーケットのようなサブカルイベントや近年の「聖地巡礼」には人と人とのリアルなつながりを見つけることができますし、ネット上ではサブカルをテーマに多様な交流が生まれています。さらに交流はサブカル活動を越えて広がることもあって、これはゼミの学生の卒業研究なのですが、彼女が調べたバンギャ(ヴィジュアル系バンドのファン)たちの場合、「バンギャ仲間」として、ファン活動を越えた日常的なつながりが生まれてきたりもします。 サブカルつながりは社会学でいうところの「趣味縁」と呼ばれるもので、孤立しがちだといわれる若者世代の新しいつながりの姿として注目されています。しかし、つながりはつねにリスクを含んでいるので、人間関係のもつれや軋轢などが生じますし、また、「島宇宙」を作って話の通じる仲間内だけ閉じこもる姿もみられます。サブカルチャーが結ぶ縁、サブカルつながりがどういう性質を持つのか、とても興味が惹かれるところです。